バケーションクラブ(タイムシェア)は、夢の休暇を定期的に楽しむための魅力的な選択肢です。
しかし、高額な初期投資や長期的な維持費が伴うため、どのクラブが自身のライフスタイルや予算に最適かを見極めることが重要です。
本記事では、日本市場で人気の高い「ディズニー・バケーション・クラブ(DVC)」、「ヒルトングランドバケーションズ(HGVC)」、「マリオット・バケーション・クラブ(MVC)」の3大クラブを徹底比較。
購入価格から維持費、予約の柔軟性、そしてリセール市場の実態まで、データに基づいて分かりやすく解説します。
バケーションクラブ(タイムシェア)とは?
「毎年家族で特別な旅行を楽しみたい」「ホテルでは味わえない広々とした空間でくつろぎたい」そんな夢を叶える選択肢として注目されているのが、バケーションクラブ、通称タイムシェアです。
これは、リゾート物件の一室を複数人で共同所有し、年間の利用権利をシェアする仕組み。
憧れのリゾートを毎年利用できるだけでなく、通常よりも広々とした部屋で長期滞在できるなど、ホテルとは一味違う魅力があります。
しかし、高額な初期費用や継続的な維持費、複雑な予約システムなど、検討すべき点も少なくありません。特に、どのバケーションクラブを選ぶかによって、その後の休暇の質や費用負担が大きく変わってきます。
徹底比較!主要3大バケーションクラブの基本概要
まずは、各バケーションクラブの基本的な特徴を理解しましょう。
ディズニー・バケーション・クラブ(DVC)
- 特徴: ディズニーリゾートの世界観にどっぷり浸れる体験が最大の魅力。不動産権利をポイントとして購入し、それを消費して宿泊します。契約には有効期限が設定されています(最長50年)。
- おすすめポイント: 強力なブランド力と質の高いサービス、ディズニーパークに隣接するリゾートへのアクセス、家族での利用に最適。
- 所有形態: バケーションポイント制。ポイントを繰り越したり(バンキング)、前借りしたり(ボローイング)できる柔軟性があります。
ヒルトングランドバケーションズ(HGVC)
- 特徴: 世界中に広がるヒルトンブランドのリゾートネットワークを利用できるのが特徴。永代所有権が基本で、隔年利用の物件も存在します。
- おすすめポイント: ハワイに多数のリゾートを展開しており、その他日本国内(京都、沖縄、小田原)を含む多様なロケーションでの旅行体験が可能。ヒルトン・オナーズ特典との連携も魅力です。
- 所有形態: ポイント制タイムシェア。オーナー組合が物件を管理・運営します。
マリオット・バケーション・クラブ(MVC)
- 特徴: マリオットグループの持つ高品質なサービスと広々としたヴィラが強み。直販ではポイント制の会員権を販売していますが、リセール市場では週単位の権利が流通しているのが特徴です。
- おすすめポイント: 北米、カリブ海、ヨーロッパ、アジアなど世界90以上のリゾートから選べる選択肢の多さ。
- 所有形態: 現在はポイント制が主流。ただし、リセール物件は多くの場合、旧来の週単位の権利であり、直販のポイント制度とは異なる点に注意が必要です。
バケーションクラブの直接購入とリセール市場の価格差
次に、各バケーションクラブの直接購入とリセール市場の価格差についてご説明します。
直接購入とリセール市場では、価格に大きな差が生まれます。
リセールでは最大60%以上の節約も可能です。
購入価格比較

バケーションクラブの検討でまず気になるのが、初期費用でしょう。
ここでは、各クラブの「直接購入」と「リセール市場での購入」の価格目安を比較します。
クラブ名 | 直接購入価格目安(ドル/円) | リセール市場価格目安(ドル/円) | リセールでの節約率目安 |
---|---|---|---|
DVC (150ポイント) | 約 $32,550 | 約 $19,530 (直接購入の約40%オフ) | 最大67%オフ |
HGVC (代表例) | 約 200万円~800万円($10,000~$500,000) | 約 100万円~300万円(直販の50%~70%オフ) | 50%~70%オフ |
MVC (2000ポイント) | 約 400万円~500万円($28,000~$35,000) | 約 120万円~200万円(直販の30%~40%オフ) | 30%~40%オフ |
【価格比較のポイント】
- リセール市場の魅力: 上記の表からもわかる通り、リセール市場での購入は、初期費用を大幅に抑えることが可能です。特にDVCやHGVCでは、直接購入の半額以下で手に入るケースも少なくありません。
- 為替レートの影響: 日本円表記の価格は、購入時の為替レートによって変動します。
- 諸経費: リセール購入時には、仲介手数料やクロージングコスト、公証費用などの諸経費が別途発生します(例: HGVCのリセール購入時諸経費は約 $3,300)。
隠れたコスト?年間維持費とその他の費用
バケーションクラブは、購入後も毎年年間維持費(管理費、固定資産税など)が発生します。
この維持費も、クラブ選びの重要な判断基準です。

クラブ名 | 年間維持費目安(ドル/円) | 主な内訳と補足 |
---|---|---|
DVC (150ポイント) | 約 $1,302 | 管理費、固定資産税、運営費などが含まれる。毎年変動。 |
HGVC (1LDKの場合) | 約 $1,800 + クラブ年会費 $256 (計 $2,056) | ユニットの広さやタイプで変動。クラブ年会費は別途必要。 |
MVC (2000ポイント) | 約 10万円前後($700相当) | 管理費と固定資産税が含まれる。リセール物件の場合、クラブ年会費は発生しないことが多い。 |
【維持費の注意点】
- 変動性: 維持費は毎年変動する可能性があります。リゾートの運営費用や固定資産税の変更に影響されます。
- クラブ年会費: HGVCのように、物件の維持費とは別にクラブ全体の運営費としてクラブ年会費が発生する場合もあります。
- 為替リスク: ドル建ての維持費は、為替レートの変動によって日本円での支払い額が変わるため、長期的なリスクとして考慮が必要です。
利用の柔軟性と予約の壁
バケーションクラブの大きなメリットは、ポイントを柔軟に利用できる点ですが、人気のリゾートや時期は予約が集中します。
各クラブの予約システムとキャンセルポリシーを理解し、計画的に利用することが重要です。
予約時期の比較
クラブ名 | ホームリゾート予約 | その他リゾート予約(クラブ予約) | 予約難易度(ピークシーズン) |
---|---|---|---|
DVC | 最大11ヶ月前(優先予約期間) | 最大7ヶ月前 | 高い(早めの予約必須) |
HGVC | 優先予約期間あり(無料) | オーナー優先期間後(手数料あり) | 高い(繁忙期は競争激化) |
MVC | 7泊以上:12ヶ月前、1~6泊:10ヶ月前 | 7泊以上:12ヶ月前、1~6泊:10ヶ月前 | 中~高(人気シーズンは早めの計画が必要) |
【予約のポイント】
- ホームリゾート優先: DVCやHGVCでは、購入した物件が属する「ホームリゾート」の予約に優先権が与えられます。人気リゾートや繁忙期は、この優先期間を利用しないと予約が難しい場合があります。
- ポイントの柔軟性: DVCやHGVCのポイントは、繰り越し(バンキング)や前借り(ボローイング)が可能で、利用期間を柔軟に調整できます。ただし、手数料が発生する場合もあります。
キャンセルポリシーの比較
急な体調不良などによって、キャンセルになる可能性もあり得るので、キャンセルになった場合の情報も重要です。
クラブ名 | キャンセル無料期間の目安(チェックインから逆算) | 主なペナルティ |
---|---|---|
DVC | 31日前まで(予約手数料は返金不可) | 30~16日前:50%ポイント失効、15日前~前日:100%ポイント失効 |
HGVC | 31日前まで(ポイント失効なし) | 30~16日前:50%ポイント失効、15日前~前日:100%ポイント失効。予約手数料返金なし。有料のキャンセルプロテクションあり。 |
MVC | 61日前まで | 14~60日前:キャンセル不可だが、Interval Internationalに預け入れ可。 |
【キャンセルポリシーのポイント】
- 急な予定変更があった場合、キャンセル料やポイント失効のリスクがあります。特にチェックイン直前になるほどペナルティが重くなる傾向があります。
- HGVCのキャンセルプロテクションのように、追加料金でキャンセル時のリスクを軽減できるサービスもあります。
メンバーシップの真価:特典とリセール購入の落とし穴
バケーションクラブの魅力の一つに、オーナー向けのメンバー特典があります。しかし、リセール市場で購入した場合、これらの特典がどこまで継承されるかは、クラブによって大きく異なります。
特典項目 | DVC (リセール購入) | HGVC (リセール購入) | MVC (リセール購入) |
---|---|---|---|
ポイント制度利用 (他リゾート交換) | ⚠️一部特典制限あり | ⚠️マックス会員特典は利用不可(レガシー会員となる) | ❌ディスティネーションポイント利用不可 |
ホテルへのポイント交換 | ❌ (情報なし) | ✔️ (手数料あり) | ❌ (マリオットボンヴォイのポイントへ交換不可) |
メンバー限定イベント/割引 | ❌ (一部不可) | ❌ (マックス会員特典不可) | ❌ (多くの場合利用不可) |
駐車場特典 | ⚠️ (有料の場合あり) | ❌ (有料) | ✔️ (無料) |
【リセール購入の重要な注意点】
- 「特典ギャップ」: リセール市場で購入すると、直販購入者向けの豪華なメンバーシップ特典(例:DVCの限定ツアーやダイニングプラン割引、HGVCのマックス会員特典、MVCのホテルポイント交換など)が利用できない、または制限されるケースがほとんどです。
- DVCの制限: 最近販売されたDVCリゾート(リヴィエラ・リゾート、ディズニーランド・ホテルヴィラなど)のポイントは、リセール購入の場合、そのリゾートでしか利用できないなどの制限があります。また、アウラニのリセール購入ではメンバーカード発行なし、メンバー限定イベント参加不可、駐車場代有料となる場合があるため注意が必要です。
- HGVCのレガシー会員: リセール購入者は「マックス会員」にはなれず、「レガシー会員」として区分され、クラブ予約手数料無料やダイヤモンドリゾート・ブルーグリーン利用などの特典を受けられません。ただし、既存のマックス会員がリセール物件を追加購入した場合は、そのポイントも合算され、マックス特典を享受できるケースもあります。
- MVCのポイント不継承: MVCのリセール物件は、現在のポイント制度(ディスティネーションポイント)に移行できません。そのため、購入したリゾートの特定のユニットを週単位で利用するのが主な用途となり、他のリゾートやホテルへのポイント交換はできません。ただし、Interval International (II) などの交換プログラムを利用して他のリゾートと交換することは可能です。
あなたに最適なバケーションクラブは?賢い選択のためのガイド
これまでの比較を踏まえ、あなたがどのバケーションクラブを選ぶべきか、主要な判断基準をまとめました。
こんな人にはこのクラブがおすす
- DVCがおすすめな方:
- 何よりもディズニーリゾートでの滞在を最優先したい。
- ディズニーのブランド体験と資産性を重視する。
- 毎年、家族で魔法のような休暇を過ごしたい。
- HGVCがおすすめな方:
- 世界中の多様なリゾートを体験したい。
- 特にハワイなどでの長期滞在を頻繁に計画している。
- 永代所有権による資産性を重視する。
- MVCがおすすめな方:
- マリオットブランドの高品質なサービスを好む。
- 特定の週に特定の優良リゾートを利用したい(特にリセール市場で購入の場合)。
- 初期費用を抑えつつ、マリオットのリゾートを利用したい。
最終チェックポイント:後悔しないための賢い選択
- 利用スタイルと頻度: 毎年どこへ、どれくらいの期間行きたいですか?繁忙期利用が主ですか?
- 総予算の把握: 初期費用だけでなく、年間維持費、予約手数料、ポイントの繰り越し費用など、長期的なコストを全て含めてシミュレーションしましょう。
- 特典の真の価値: 豪華なメンバー特典に惹かれがちですが、本当に自分にとって必要で、利用する特典なのかを見極めましょう。リセール購入の場合、利用できない特典も多いことを念頭に置く必要があります。
- リセール市場の理解: 初期費用を大幅に抑えられるリセール市場ですが、特典の制限や、将来の売却のしやすさなども考慮に入れる必要があります。リセール物件は、クラブの公式プログラムから独立して運営されるため、その制限を十分に理解することが重要です。
- 専門家への相談: 不明な点や不安な点は、バケーションクラブの販売担当者だけでなく、タイムシェア専門の仲介業者や不動産弁護士など、中立的な立場のアドバイスも積極的に求めることをお勧めします。
まとめ
バケーションクラブは、計画的な旅行を愛する方々にとって、非常に価値のある投資となり得ます。
DVC、HGVC、MVCそれぞれに独自の魅力と特性があり、購入価格や維持費、利用の柔軟性、そしてリセール市場での特典継承状況も大きく異なります。
この記事で提供した比較データと洞察が、あなたがご自身のライフスタイルと予算に合った、最適なバケーションクラブを見つけるための一助となれば幸いです。
後悔のない賢い選択で、これからの休暇がより豊かで特別なものになることを願っています。
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